ヤオコーでの暴言 体験

現場の空気はどう作られるのか


ヤオコーのような店舗現場で「空気」が決まるのは、立派な理念やマニュアルより、もっと生々しいものだ。誰がどういう口調で話すか、忙しいときに新人へどう接するか、ミスが起きたときに責めるのか支えるのか。現場の空気は、結局その積み重ねでできる。

ヤオコーについて公開されている口コミを見ると、まず見えてくるのは、現場の余裕のなさだ。Indeedでは「人当たりがきつい人も多かった」「忙しく人手も足りてないので、一人一人の気持ちに余裕が無い人が多かった」といった声が確認できる。別の口コミでは「トイレに行く暇がないくらいの仕事量」「常に人手不足」とまで書かれている。こうなると、空気の土台は最初からかなり荒れやすい。余裕のない職場では、人は自然に優しくならない。まず言葉が短くなり、次に説明が雑になり、最後に当たりが強くなる。

次に大きいのが、上司や古株の“話し方”だ。現場の空気は、ルールより先に口調で伝染する。丁寧に教える人が中心なら、周囲もそれに寄る。逆に、強い言い方をする人が中心に立つと、その空気が標準になる。ヤオコーではOpenWork上で「昔ながらの体育会系のノリが多い」「上の人が言ったことにハイと言わないと怒鳴り散らされる」という趣旨の声や、「体育会系の文化が根強い」という声も見える。もちろん全店舗一律とは言えないが、少なくとも一部では“強く言う側が正しい”空気ができやすい土壌が疑われる。

さらに厄介なのが、人によって現場の基準が変わることだ。Indeedの惣菜製造に関する口コミには、「上司によって一人当たりの仕事の量が変わる」「最初の上司は入って1週間ぐらいしたら一人で働くことになり、時間内に終わらず苦労した。次の上司は二人体制にしてくれた」という声がある。これが示しているのは、ヤオコーの現場では少なくとも一部で、空気が制度ではなく“当たった人”で決まっている可能性だ。こういう職場では、良い空気も悪い空気も属人的に固定されやすい。

現場の空気が悪化する最大の理由は、悪い振る舞いが問題として処理されないことでもある。少しきつい言い方があっても、周囲が止めない。新人が萎縮しても、「忙しいから仕方ない」で流される。そうすると、最初は一人の癖だったものが、やがて現場全体の普通になる。ヤオコーの口コミで見える「余裕のなさ」や「体育会系」の示唆は、まさにこの過程を想像させる。誰かが意図して“悪い空気”を作るというより、忙しさと放置で自然に固まっていくのだ。

しかも、この空気は外から見えにくい。売場は回っているように見えるし、表向きには接客も成立している。だが内側では、「質問しづらい」「言い返せない」「ミスした瞬間に空気が変わる」といった小さな圧が積み重なる。ヤオコーについて「暴言」や「きつい」という検索が生まれるのは、単なる偶然ではなく、その見えにくい空気を感じた人がいるからだろう。公開情報に見える断片をつなぐと、そう考えるのが自然だ。

要するに、現場の空気は勝手には生まれない。ヤオコーのような現場では、忙しさ、人手不足、上司の話し方、属人的な運営、そして悪い振る舞いが放置されること、その全部が重なって空気になる。そして一度できた空気は、新人や学生バイトほど強く食らう。だから「たった一言」ではなく、その一言が出てくる空気のほうを見たほうが、本当の問題に近い。


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